児童発達支援や、放課後等デイサービスなどを利用する際に必要な「受給者証」をご存知ですか?『初めて耳にしたからよく分からない』『なんとなく知ってはいるけど、取得方法や使い方はよく分からない・・・』という方も多いのではないでしょうか?そこでこの記事は、「受給者証」について、申請取得の手続きや利用方法などを分かりやすくご紹介します。
受給者証とは?
受給者証とは、福祉サービスを利用するために必要な証明書です。正式には「障害児通所受給者証」「通所受給者証」といいます。児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「障害児通所支援」を利用するためには、この受給者証が必要です。受給者証は、申請手続きを経てお住まいの市区町村から交付されます。
よく混合して認識される「療育手帳」とは別物になります。療育手帳が「バスや行楽地などでサービスや割引、給付を受けられるもの」に対し、受給者証は「障害福祉サービスなどを利用するために必要なもの」と考えると分かりやすいかもしれません。
受給者証を取得すると、福祉サービスを行政から給付金を受けながら、一部の自己負担で利用できます。自己負担の金額は世帯所得によって異なりますが、一般的には全額の1割であることが多いです。
なお、「障害児入所支援受給者証」「自立支援医療受給者証」など、福祉サービスを利用するための証明書を広く「受給者証」と呼ぶ場合もあります。児童発達支援や放課後等デイサービス、訪問支援などの障害児通所支援を利用するには「通所受給者証」が必要です。指定障害児入所施設などで入所支援サービスを受ける場合は「障害児入所支援受給者証」が必要になります。また、通院での診察や精神薬の処方、デイケア、訪問看護などの利用に必要なのが「自立支援医療受給者証」です。
受給者証を取得するには?
では、受給者証を取得するにはどうしたらよいのでしょうか。受給者証交付の申請に必要なものやサービスを利用するまでの流れをご紹介します。
申請に必要なもの
受給者証の申請には、一般的には次のものが必要です。
※受給者証の申請に必要なものは、各自治体によって異なります。詳しくは自治体のホームページなどで事前にご確認ください。
- 支給申請書
- 障害児利用支援計画案
- 発達に支援が必要だと分かる書類
- 申請者と児童のマイナンバー(写真付きの個人番号カードまたは通知カード)
「障害児利用支援計画案」とは、お子さまの課題や支援方法を明確にし、適切なサービスを検討するために作成される計画のことです。原則として、各都道府県や市から指定を受けている指定障害児相談支援事業所(相談支援事業所)で作成されます。
ただし、相談支援員の作成の予約がいっぱいな場合は、相談支援事業所からの指示を受ければ利用者側で作成できます。これを「セルフプラン」といいますが、利用者側の独断ではなく、通所先の支援者のサポートを経て作成するものです。
また、発達に支援が必要だと分かる書類は、障害者手帳・医師の診断書や意見書・心理判定書などが挙げられます。なお、必要な書類などについては各地方自治体で異なるため、お住まいの地域の行政のホームページなどで確認すると良いでしょう。
申請から発行までの流れ
では、受給者証の申請から発行までの流れをみていきましょう。
①市区町村の窓口に相談へ
福祉サービスの利用について、お住まいの市区町村へ相談に行きます。クリニックの受診歴がない、または診断が出ていない場合には、まずは医療機関を紹介してもらいましょう。
②興味のある施設を見学
見学会などを利用して、興味のある施設を見に行きます。自宅から通いやすい距離か?施設の雰囲気やサービス内容は適切か?お子さまとの相性はどうか?などを確認しましょう。
③申請書類の作成
必要な書類を作成し、市区町村へ申請します。必要な書類は自治体によってそれぞれ違うため、事前に必ず確認しましょう。申請に必要な書類は、各自治体の福祉の窓口でもらう、または自治体のホームページからダウンロードできることもあります。また、申請から受給者証が発行されるまでの時間も自治体によって異なるため、気になる方は事前に問い合わせるのがおすすめです。
④福祉の窓口へ書類を提出・アセスメント
作成した書類を、お住まいの市区町村の福祉課へ提出しましょう。お子さまの障害の程度や現在の状況、家庭環境などを担当者と話し合い、サービスの利用意向や利用日数などを検討します。
⑤受給者証の発行
支給量や利用者上限金額の決定後、受給者証が発行されます。受給者証に記載されるのは、障害児通所支援の種類のほか、通所給付決定の有効期間、支給量などです。
※支給量、利用者上限金額などについては、この後の章で詳しく説明します。
⑥サービスを利用する事業所と契約
利用を検討している事業所へ受給者証の原本を持っていきます。契約の手続きを完了すれば、サービスを利用可能です。
受給者証が発行されるまでの期間
受給者証の発行の見込み時期や、施設の通所開始の時期は、利用者と施設の児童発達管理責任者や自治体の担当者との間で検討が必要です。そのため、受給者証の申請から発行までの期間は、自治体によって異なります。状況によって差はありますが、約1ヶ月以内での発行がほとんどのようです。
受給者証の使い方・見方
受給者証は、障害者総合支援法や児童福祉法に基づいて運営する事業所のサービスを受ける際に使用します。入所施設やグループホームをはじめ、就労継続支援、児童発達支援などです。
支給量等
1ヶ月に福祉サービスを利用できる日数が「支給量」です。例のように、支給量が月15日の場合は「事業所Aを10日、事業所Bを5日利用する」との使い方ができます。支給量以内に収まっていればよいため、月15日のうち10日利用するといったことも可能です。
給付決定期間
受給者証の「給付決定期間」に記載されている期間は、福祉サービスを受けられます。この期間を過ぎてしまうとサービスが受けられなくなるため、事前に更新が必要です。
負担上限月額
福祉サービスの利用時に実費で負担する上限額が「負担上限額」です。事業所を月に何度利用しても、受給者証に記載の上限負担額を超えての請求はありません。ただし、おやつを食べたりイベント費の発生があったりした場合は、別途費用が発生します。
支給量の決まり方
支給量の決定基準は、お子さまの障害がどのくらいの程度かや利用者の意向、生活状況などです。受給者証を申請する際に、参考書類を踏まえて検討されます。
1ヶ月に利用できる支給量の上限は、各自治体で異なるものです。ただし「子どもの反応がよいので利用日数を増やしたい」「家庭の事情で週〇回の利用にしたい」など、必要に応じて検討できます。
つまり、支給量の決定後も、相談して認められれば柔軟に変更ができます。
負担上限月額の決まり方
さて、では「負担上限月額」はどのように決まるのでしょうか。
実費負担の上限額は、受け取った受給者証の「負担上限金額」に記載されています。原則として、総利用額のうち自己負担1割の料金で利用可能です。ただし、負担上限額は世帯収入ごとに定められています。
以下は、厚生労働省のWebサイトに記載されている世帯収入ごとの負担上限額一覧です。
たとえば、総利用額が約10万円になった場合、負担額は原則として1割の1万円。ところが、負担上限金額の欄に「¥0」と記載されていればお支払いはなく、「¥4,600」と記載されていれば利用者が実際にお支払いする金額は¥4,600です。事業所を月に何度利用しても、受給者証に記載の上限負担額を超えての請求はありません。
なお、上限負担額がさらに細かく設定されている自治体もあります。
受給者証の更新について
受給者証の有効期限は1年間です。有効期限の詳細は、受給者証の「給付決定期間」欄に記載されています。
事業所の利用を継続したい場合、有効期限が切れる前に更新が必要です。更新手続きから発行までには1ヶ月前後かかるため、早めの手続きを心掛けましょう。
なお、小学校入学時には、サービスの種類が「児童発達支援」から「放課後等デイサービス」へ変更になります。そのため、有効期限が来ていない場合でも、このタイミングで受給者証の更新が必要です。
まとめ
受給者証の取得方法や発行までの流れ、実際の使い方などについてご紹介しました。「初めて福祉サービスを利用するので不安」「子どもに合わせた内容で利用できるか心配」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
サービスの利用を検討している、または受給者証についてご不明な点がある場合などは、「ことばの教室そらまめキッズ」へお気軽にご相談ください。専門スタッフがお悩みやご不安にしっかり寄り添い、解決に向けてのサポートをいたします。